V-RODの歴史

2002年に登場した新しいハーレーのモデル

ハーレー・ダビッドソンのエンジンと言えば、大きな空冷V型を思い浮かべることが多いでしょう。

しかし2002年より登場した「V-ROD」はそんなハーレーの流れを大きく変える水冷式のエンジンとなっています。

走行中に加熱をしてしまうバイクエンジンを冷却させるためのしくみとして大きく「空冷」と「水冷」がありますが、現代のバイク市場においては水冷式が一般的となっておりそれがハーレーらしさとなってきた部分があります。

ある意味頑なに過去からもエンジン方式を守り続けてきたということにハーレーの空冷式エンジンの意味もあったと言えます。

V-RODではアルミボディを使用した近代的な造形と、さらにDOHC水冷Vツインエンジンというそれまでのハーレーとは全く違った外観を採用しました。

発表当時には「レボリューション(Liquid-Cooled Revolution)」という名称が付けられており、まさにそれまでのハーレーのエンジンの歴史としては「革命」と言ってもよいほどの方向転換となりました。

水冷エンジンといえば日本メーカーの新型車種のほとんどで取り入れられている現代バイクの代表的な構造です。

空冷エンジンの場合、どうしてもエンジン内部に空気を流すための穴をつけなくてはいけないため、全体のサイズが大型になりがちでありそれが小型バイクに向かない理由になっていました。

ある意味空冷エンジンを搭載するための大型化がハーレーの特徴でもあったので、あえてコンパクト化を図った水冷エンジンの「V-ROD」はハーレーファンに大きな衝撃を与えました。

目指したのはレーシングマシンとしての加速性の向上

この「V-ROD」のルーツはレーシングマシンとしての開発にあります。
空冷エンジンの場合、低回転域のビッグトルクが特徴となるのですが、水冷にしたことで高回転域までパワーエンドを持って行くことができるようになりました。

これは立ち上がりの加速を大幅に向上させることになり、最初にアクセルを開いたときの伸びを実現させていました。

2006年モデルとして「V-ROD」搭載車種としてリリースされた「ストリートロッド」は倒立式フロントフォークというさらにハーレーらしくない構造を使用し、カラーリングなどやはりハーレーの流れとは異なるデザインを採用しました。

しかしながら2016年の生産分をもって「V-ROD」搭載シリーズは生産を終了しており、今後は中古市場でのみ探すことができるようになります。

様々な意見を呼んだ「V-ROD」ですが、おそらく「エボリューションエンジン」などと同じく今後の歴史の中で正しく評価をされていくことになるのでしょう。