1. レースマシンとして製造されたXR750

レースマシンとして製造されたXR750

レースシーンを席巻したXR750

ハーレーに対するイメージとしては、重量感があって長距離のツーリングに最適のアメリカンクラシックという姿が一般的です。
少なくても現代のハーレーのモデルのほとんどは巡航型のツーリングスタイルが採られていますし、ハーレーファンもそれを求めてします。
しかし、70年代にはハーレーも本格的なレーシングモデルを作っていました。

確かに、ハーレーは重量級のパワーをもたらすエンジンと安定感のあるボディーとパーツ構造を得意としていますので、それをレーシングに用いることは大して難しいことではありません。
ハーレーのレーシングモデルはいくつか登場していますが、特にXR750というモデルは伝説的なバイクとなりました。
アメリカのレースで人気を博していたGNCに参戦させるために作り上げたマシンです。
このGNCは、現在ではあまり見られない、オールラウンドコースを競うものでした。
つまり、舗装された道路でのロードレースにダートコース、TT、サーキット走行など、バイクレースのすべてをミックスした状況で競うものだったのです。

このGNCはアメリカで行われていたのですが、当時はイギリスメーカーが活躍していた状況でした。
そのため、ハーレーが名乗りを挙げてアメリカメーカーの威信を取り戻す試みに出ます。
それがXR750なのです。
XR750で出るとあっという間にレースの上位を占めるようになり、まさに敵なしの状態を作り上げるほどになりました。

XR750のスペック

XR750は、OHVのV型エンジンを搭載しています。
鋳鉄製のシリンダーとヘッドを使っていて、シングルキャブとなっていました。
プラグ点火にはマグネトー式を採用していましたが、当時ではこれが一般的でした。
最高出力は70psちょっとだったと言われています。
足回りにはチェリアーニのGPフォークを採用して、様々な路面状況に対応できる仕組みとしていました。

映画などでスタントバイクとしても活躍した名機

XR750はレースの世界で名を挙げましたが、その後も様々なシーンで人々の目に留まることになります。
特に映画でスタントバイクとして使用されたのは大きなポイントです。
この当時、スタントライダーとして有名だったイーブル・ニーブルは好んでXR750を使っていて、いくつもの映画やドラマに登場しています。
こうして、レースの世界を知らない層にまでXR750が知れ渡りました。

XR750は基本的に市販車として製造されることなく、あくまでもレーシングモデルとして作られていたのみでした。
それでもハーレーが誇る名車として多くの人が知っていて、憧れのマシンの一つとして記憶に刻まれています。
また、カスタムバイクの始まりとしてこのXR750を参考にしたライダーも多く、バイク界に大きな影響をもたらしたのです。