1. ハーレー大排気量化時代の軌跡

ハーレー大排気量化時代の軌跡

ツインカムエンジンY型

進化するツインカムエンジン

それまでハーレー・ダビッドソン社のバイクの主力エンジンであったエボリューションエンジンに変わり、新たに全てのモデルに導入されるようになったのが「ツインカムエンジン」です。

ツインカムエンジンとはエンジンルームに対してカムシャフトが2つついているという構造のことで、ハーレー・ダビッドソン以外のメーカーで導入している場合には「DOHC(ダブルオーバーヘッドカムシャフト)」という名称が使用されています。

それまでもレースで勝つためのバイクを開発してきたハーレー社ですが、大排気量バイクを主力商品とするという方針が本格的に固まったのはこのツインカムエンジンが登場したことがきっかけです。

ツインカムエンジンになったことにより、ハーレー・ダビッドソン社のバイクのエンジン部分はY字型になった独特のエンジン形状がデザインされるようになりそれがトレードマークにもなりました。

最初に開発されたツインカムエンジンは「ツインカム88」という排気量にして1450ccの既に十分は大きさの排気量でしたが、2007年にはさらに「ツインカム96(1584cc)」というさらに大きなタイプが登場しています。

その後も2011年の「ツインカム103(1689cc)」や、2014年の「ツインクールドツインカム103(1689cc)」、2016年の「スクリーミング・イーグル・ツインカム110(1810cc)」と続いています。

排ガス規制と排気量の関係

そもそも最初のツインカム88が次モデルのツインカム96に進化した理由は、2000年代に入って急激に世論が高まった地球温暖化への対策です。

自動車やバイクといった乗り物は二酸化炭素排出量の多い要素として何かと非難の的になることもよくあり、過剰な排出量をする旧モデルに対して強い規制をかける動きも見られていました。

そこで既にリリースして10年以上が経過しているツインカム88では根本的な改善をすることができないと踏み、新たに基準をクリアした高性能エンジンの開発を開始しました。

その結果登場したのがツインカム96およびその後のエンジンモデルたちです。
なぜ排気量は上がっているのに二酸化炭素排出量は低くなっているのかと疑問に思うところですが、新型のツインカムエンジンにおいては旧モデルよりもより低燃費でストロークアップをすることができるようになっているため、同じ燃費で高いパワーを作り出すことができるといいます。

さらにインジェクションによる電装系処理も飛躍的に改善させており、従来までの主力であったキャブレター式バイクとは比べ物にならないほどの乗り心地と燃費を実現しています。