1. 1985年~2009年ハーレー新時代を振り返る

1985年~2009年ハーレー新時代を振り返る

ツインカム88

エボリューションエンジンの登場と日本バイクメーカーとの戦い

1980年代はハーレー・ダビッドソン社にとって非常に多くの動きがあった年でした。
まずAMFとの業務提携を解消し再び故郷ミルウォーキーに戻ったことを皮切りに、新型エンジン「エボリューション」を発表しました。

その後「ツインカム88」という後のハーレー製品に導入されるツインカムエンジンにまでつながるのですが、他者メーカーと比較して壊れやすいというイメージを見事に払拭しました。

もう一つハーレー・ダビッドソン社にとって大きな転機となったのが1987年3月17日の国際貿易委員会です。
この会議でハーレー・ダビッドソンが訴えたのが重量オートバイの特別関税の早期中止で、他のアメリカ企業で貿易保護の除外を臨んだ企業がなかった場面において非常に印象的な主張をしました。

この背景には当時シェア争いをしてきた日本製バイクとの戦いがあり、その途中においてハーレー・ダビッドソンは自らの製品に対して特別な程をしなくても十分市場で戦っていけると宣言したのでした。

同1987年7月1日にはハーレー・ダビッドソン社としてニューヨーク株式市場に上場もしており、いかに当時会社としての勢いがあったかということがわかります。

創業100周年を越えて復刻モデルも登場

ハーレー・ダビッドソンの社歴の中でも1980年代は最も大きな飛躍をした10年と言えます。
現在も主力商品としてラインナップされている製品の多くはこの80年代に作られており、モデルチェンジはされてはいるものの、デザインとしての原型はこの頃に作られたモデルがそのまま踏襲されています。

この時期に作られたモデルの代表にツアラータイプがあり、最高級の品質を自負するクルーズコントロールやグローブ収納BOX、80ワットのスピーカーオーディオなど独特の装備品を充実させました。

1990年代以降には80年代までに作られた人気モデルの新タイプや復刻版が主力商品となってきており、85周年、100周年、105周年とそれぞれアニバーサリーモデルも販売されています。

1990年代の最も大きな出来事は1998年に登場した「ツインイカム88」という新型エンジンで、それまで主流となっていたエボリューションエンジンから大きな転換をはかりました。

ツインカムエンジンはエンジンルームに対してカムシャフトが2つ付いているという非常に独特の形状をしているもので、いまやネイキッドタイプのハーレー車のデザインの代名詞にもなっています。

一方でツインカムエンジンの登場によって消えてしまったエボリューションエンジンに2000年代に入ってから再び注目が集まっており、古き良き時代を生き抜いた定番車種こそがハーレー・ダビッドソン社ならではの特長となっています。